年齢18歳以上
労働基準法の特別の保護規定(労基法57条)に準ずる形で、特定技能の年齢についても18歳以上と定められています。
国内にいる外国人の場合、専門学校や大学を卒業しているケースがほとんどですから、年齢が問題になることはほとんどないでしょう。
ただし、国外から呼び寄せる場合には注意しましょう。
健康状態が良好であること
健康状態が良好であることを示す資料は下記のとおりです。
①新たに入国する外国人の場合は、申請の日から遡り3ヵ月以内の医師の診断書、
既に日本に在留中の外国人の場合は、1年以内に日本の医療機関で得た医師の診断書の提出が必要。
②「胸部エックス線検査」に異常所見がある場合は、喀痰検査を実施し、活動性結核ではないことを確認することが必要。
申請の日から遡って3か月以内の診断書が必要ですので、診断書を取得してもらうタイミングに注意する必要があります。
分野ごとの技能試験に合格すること
それぞれの業務区分についての技能水準及び評価方法については、評価試験が定められています。試験により、従事しようとする業務に必要な相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有していることか否かが確認されます。
業務区分ごとに試験が異なることに注意が必要です。
試験の実施時期によっては、採用予定までに試験に合格できない場合があります。万が一、採用予定の外国人が試験に合格していない場合には、早急に受験するように準備させる必要があります。
過去の試験問題がWEB上に公開されていますので、確認することをおすすめします。
各業界で働いたことがある人間であれば、常識に近い内容がほとんどです。ただし、業界特有の専門用語、例えば、道具や作業の名称については知らなければ、合格は難しいです。
専門学校を卒業しN3程度の日本語能力を有する外国人留学生であれば、少し準備すれば、各分野の試験に合格できる程度の難易度です。そのため、専門学校生の中には、特定技能ビザは希望していないけれど、とりあえず、外食、宿泊業の試験に合格しているという人が少なくありません。
N3とは?
日本語能力試験とは、1984年に始まった日本語を母語としない方が受験する試験で、15カ国で実施、7000人が受験しています。採用する際にはこの試験のレベルを見るのがスタンダードとなっています。
日本語能力試験にはN1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルがあります。一番やさしいレベルがN5で、一番難しいレベルがN1です。N3は、日本で働くための最低限のレベルと思われます。実際のところ、N2は欲しいな、と思うことが多いレベルかと感じます。
必要な日本語能力があること
どの分野においても、日本語能力試験N4合格または国際交流基金日本語基礎テストの判定で、日本語能力水準を評価しています。
なお、介護分野については、これに加え、介護日本語評価試験への合格も求められています。
日本に滞在している留学生であれば、N4をクリアできないことはほとんどないでしょう。N4すら取得できない日本語能力しかない場合には、コミュニケーションを取ることができないため、雇用すべきではありません。
通算在留期間
特定技能1号の在留期間の上限は、通算5年です。通算期間には、一時帰国等の出国期間も含まれる点は注意が必要です。
留学生たちは、現状では特定技能2号でビザを取得できるのか不透明であるため、通算5年しか日本に滞在できないことから、特定技能を避けています。こうした留学生たちに対しては、特定技能2号の今後について丁寧に説明することはもちろんですが、より現実的な手段について説明をする必要があります。
例えば、介護であれば、特定技能1号の間に介護福祉士の資格を取得して、在留資格「介護」へ移行することで、長く日本に滞在できるといったキャリアプランを示したり、大学を卒業している場合には、大学で履修した内容と関連する専門的な仕事や通訳・翻訳業務に従事できる可能性を説明し、特定技能1号の後に技術・人文知識・国際業務ビザの取得可能性があることを説明するといったことも考えられます。
国ごとの注意すべき手続
ネパール
ネパールから日本に入国して「特定技能1号」の許可を受ける場合、出国前にネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門から海外労働許可証の発行を受け、出国時にそれを提示する必要があります。
既に日本に入国し、「特定技能1号」へ在留資格変更する場合でも、一時帰国の際に、ネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門から海外労働許可証の発行を受け、出国時にそれを提示することが求められています。一時帰国の際に手続きを忘れないように注意しましょう。
フィリピン
日本の特定技能所属機関になろうとする法人が、フィリピン側の手続として、必要書類を日本のフィリピン海外労働局(Philippine Overseas Labor Office、通称「POLO」)に提出し所定の審査を受けた上で、フィリピンの海外雇用庁(Philippine Overseas Employment Administration、通称「POEA」)に登録される必要があります。その後、特定技能外国人が海外雇用許可証(OEC)を取得し、フィリピンを出国する際に提示することが求められています。
インドネシア
「特定技能1号」の許可を受ける場合、査証の発給要件として、インドネシア政府の海外労働管理サービスシステム(SISKOTKLN)へ登録し、当該登録によって取得した海外労働許可ID番号を提出する必要があります。
また、既に日本に入国し、「特定技能1号」へ在留資格変更する場合でも、SISKOTKLNへの登録及び在京インドネシア大使館において海外労働者登録手続(届出)が必要です。当該登録手続が完了すると、登録手続済証明書(推薦状)が発行されます。
特定技能外国人に関するよくある質問
学歴は必要か
大学卒業や専門学校修了などの学歴は必要ありません。各分野の技能試験と日本語能力(N4以上)に合格していればOKです。ただし、特定技能1号の在留期間5年間を終えた後に、技術・人文知識・国際業務ビザなどで継続して雇用することを考えると、できれば大学卒業、専門学校修了の場合には履修した内容と業務が直接に関連することが望ましいです。
オーバーワークしていた外国人
留学生時代に掛け持ちでアルバイトをするなどして1週間28時間以内の制限を超えている外国人は珍しくありません。オーバーワーク自体は法令違反ですので、望ましくないことは間違いありません。
しかし、特定技能のビザ取得に際しては、留学生としての滞在中にオーバーワークがあったとしても、その程度や事情について丁寧に説明することで、特定技能ビザを取得できるケースはあります。具体的な事案については、弊所にご相談ください。
専門学校や大学を中退する場合
早く働いてお金を稼ぐために専門学校や大学をやめることを検討する外国人がいますが、おすすめできません。
特定技能1号の5年間を終えた後に、日本に在留することが非常に難しくなります。ただし、母国で大学を卒業している場合には、日本で専門学校に通い続ける必要性が低いケースもあります。
具体的な事情によりますので、外国人が退学を希望しているようなケースでは弊所にご相談ください。
特定技能で働くことができる期間
特定技能1号は5年間に限られています。特定技能2号が認められる分野は、現時点では建設・造船などの一部のみです。今後拡大されることが期待されていますが、現時点では、一部分野以外は5年のみと考えておくべきでしょう。
外国人は5年間しか働けないことから、特定技能を避ける傾向が強いです。2号がある分野であれば、その点を丁寧に説明して採用に繋げるという方法もあります。また、介護の場合、介護福祉士資格を取得することで、在留資格「介護」で働き続けることが可能ですので、資格取得を支援するという方法もあります。
特定技能の転職は可能か
特定技能は、転職が可能です。原則転職ができない技能実習と大きく違う点です。魅力のある職場、待遇でない場合、転職される場合がありますので、注意が必要です。
ただし、現実的には転職するには、転職先の協力を得て、在留資格変更許可申請、つまりビザ申請をもう一度行わなければならないなどハードルは低くありません。
特定技能が終った後の継続勤務
上記でも回答したとおり、特定技能1号は5年間しかありません。その後のキャリアを考えることが外国人にとっても、優秀な人材を確保したい会社にとっても必要です。
そのためには、募集・採用時から、将来的に技術・人文知識・国際業務で雇用し得る人材をターゲットに特定技能外国人を雇用する必要があります。この点の採用戦略立案については、お気軽に弊所にご相談ください。